2017 年 46 巻 2 号 p. 53-65
データの欠測は,臨床試験の結果をゆがめ,解釈を困難にする重大な問題である.mixed-effects models for repeated measures(MMRM)は,線形混合効果モデルの一種で,不完全な経時測定データを解析するために利用される統計モデルである.特に医生物学の分野で急速に普及しており,臨床試験においては主要な解析に採用されることも多い.本論文では,MMRMに基づく解析を取り上げ,この方法の原理や性質,固定効果パラメータの推定ならびに統計的推測の方法を概観する.また,実際のデータにMMRMを適用する際の具体的な指定方法や注意点を紹介する.