応用統計学
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研究論文
自動車のエクステリアデザインにおける仕上げが支払い意思額に与える影響の定量的評価
加藤 拓巳
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2019 年 48 巻 3 号 p. 71-83

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抄録

品質は,材料特性や製造技術等の客観的な要素と,美しさや心地よさ等の主観的な要素に分けられる.後者は,知覚品質と呼ばれ,近年は機能的な要素以上に重要視されている.自動車業界でも,知覚品質は大きな競争力の1つになっている.しかし,知覚品質の重要性は広く認識されながらも,主観的であるがゆえに,定量的な効果の推定は不透明なままであった.そこで,本研究の目的は,車のエクステリアの知覚品質が顧客の支払意思額に与える影響を評価することである.知覚品質の要素は,色,素材,仕上げのうち,これまで取り上げられた例の少ない仕上げを対象とした.仕上げは,「見切り線の有無」と「合わせ幅」の2つとし,同じスタイリングでありながら仕上げレベルが異なる2つの車を用意し,ランダム化比較試験によって検証を行った.ランダム化比較試験を行うにあたって,単純ランダム化で2群に割り当てた後,事前のリクルーティング調査で聴取した性別,年齢,世帯年収,保有メーカー,運転頻度,情報接触頻度等の項目で,各群の同質性を確認した.支払意思額は,仮想市場評価法の自由回答方式で聴取した.得られた支払意思額をブルンナー・ムンツェル検定で評価した結果,2つの車の間での差は有意となった.統計的な手法による定量評価は,商品の機能的な要素に着目されることが多いが,デザインの仕上げという感覚的な要素でも支払意思額という消費者視点で評価が可能である.

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© 2018 応用統計学会
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