2019 年 48 巻 3 号 p. 85-94
混成対数正規分布(熊澤, 大橋, 1986)は,対数正規分布で予測されるより高い値の出現頻度を抑制するメカニズムの存在によって生成される確率分布である.これは,対数正規分布の本体と正規分布の右端を持つ分布であり,放射線作業に伴う線量累積を合理的に抑制する確率過程のリスク管理モデルとして導出された.同様の確率分布は,自然現象,工学,経済学,文化,スポーツ,社会統計で広く見られる.本論文では,混成対数正規分布の生成機構「量の増加抑制の合理的調整」を普遍的なリスク管理式として解釈,また,この管理式からのリスク出力は対数成分と線形成分の混成変動になることを前提にして,混成目盛(対数目盛と線形目盛の統合)および両軸に混成目盛を持つ2次元の両混成グラフ用紙上で混成変動を同定する考え方と適用例を示した.適用例では,両混成グラフ用紙上で直線グラフを与えるハイブリッドスケール(HS)モデルを用いて,核の構造安定性に関する(クーロン反発力源の)陽子数を超える(核力引力源の)中性子過剰数が線量管理から導出したリスク管理式と同じく増加抑制機能を示すことを検証した.