抄録
ベータ2項分布または負の超幾何分布は,ベータ分布による2項分布の混合をはじめとするいくつかの確率モデルのもとで導かれ,データ解析に用いられることも多い.ベータ2項分布の確率計算は,母数の値が大きいときは手間がかかるので,近似を行うことが有用になる.ここではいくつかの近似式を述べてその精度の数値的な検討を行うが,それはベータ2項分布の各種の漸近分布への収束の数値的側面を理解するうえでも興味深い.取り上げた近似式は比較的簡単なものが主体であり,一部より高精度のものが含まれているとはいえ,最大絶対誤差にして0.005程度を達成することが当面の目的である.