応用統計学
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社会学における統計的手法の展開
パス・アナリシスを中心に
原 純輔安田 三郎
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1972 年 2 巻 3 号 p. 119-136

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抄録

社会学の学問的性格と,社会学的データの諸特徴のゆえに,一方において社会学における統計的方法の応用には自ら限界があるとともに,他方において社会学独自の諸方法も開発されるようになった.
社会学データの源泉が主として社会調査に限定されるため,非実験データからの因果推論法としてパス・アナリシスが発達した.計量困難という特徴からは,一方で社会測定の諸方法が案出されるとともに,他方で属性の多変量解析法が考案された.データが個人と社会の2水準にまたがる点,からは,エコロジカル相関や構造効果の問題が出てくる.
それらの諸展開のうち,本稿の後半ではパス・アナリシスをやや詳しく紹介する.それは重回帰分析の一種とみなしうる統計解析の一手法であるが,標準化された変数による連立方程式の逐次的システムを考えることにより,諸要因間の因果関係の強さを解明することができる.序数型データやパネル調査データへの適用も紹介する.
3,4節は原が,残りを安田が執筆し,全体の調整は共同して行なった.

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