抄録
医学・生物学などにける追跡調査においては,事象そのものの悉無的な性質と,観察システムとの制約により,通常のような観測値が得られず,2つの観察時点の間にその事象が生起したという情報だけに限定せられる場合が少なくない.しかもそれら観察時点は個体ごとに異なるから,事象の生起時点を含む区間情報を,従来のグループ分けされたデータ,または,センサード・データとして取扱うこともできない.このような区間情報データの特色を明確にし,それらにもとつく母数推定の問題を定式化し,母数の最尤推定値の存在を示し,ついで反復推定手順による齲蝕歯牙年齢の推定について述べる。