2024 年 1 巻 p. 13-30
教師自身の価値観や信念に関わる発言(オーセンティック発話)が,児童の自尊心や自己概念に関連することを示した先行研究を踏まえ,本研究では,担任のオーセンティック発話に対する児童の認知と自己価値性との関係を検討した。児童の自己価値性は関係自尊心,私的自己意識,自己実現的態度,および学級アイデンティティの4側面から測定した。小学3年から6年1,351人のデータを用いて,児童を発話認知の程度によって3群に分け,自己価値性の4側面を比較した。多変量一元配置分散分析の結果,いずれの側面においても発話認知の効果が認められ,発話認知高群の児童は,低・中群より有意に高い自己価値性を感じていることが明らかになった。