教授学習心理学研究
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生活科における酸性学習の援助と効果
定性的ルールの獲得・活用を図る授業内容
梶原 郁郎
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2019 年 14 巻 2 号 p. 66-81

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抄録

本稿は,酸性の定性的ルール(知識)の獲得・活用を図る生活科の授業内容を提示して,それによる援助と効果を報告している。その内容は,酸っぱさの味覚が困難なものを本時の次の学習対象に予定して,身近なものから酸っぱいと味覚できるものを弁別するルール学習を目標としている。 授業内容の問題1・2・3の授業記録(TABLE 3・4)に基づいて児童のルール獲得の過程が明示されて,問題4・5で児童は梅干やトウガラシ等に対してルールを活用して,それらが十円玉をピカピカにするか予想(思考)できている(TABLE 5・6)。酸味に基づくそうした予想をどの程度の児童ができるようになったのか,この点を事後質問(TABLE 7)で検証している。事後質問1・2では,31名中28名(90%)がルールを獲得して,質問3のABCDでは,25名(81%)が3問以上でルールを活用できた。また質問3のE(塩水問題)では事後も「酸っぱい」と「しょっぱい」との未分化問題が大きく残り,21名(68%)が「酸っぱい-ピカピカになる」と誤答した。以上の成果と課題を事後質問で把握した後,授業後の自宅での酸っぱいものの弁別活動を児童が纏めたWS(ワークシート)によって,本授業および本授業後の課題が整理されている。

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© 2019 日本教授学習心理学会
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