教授学習心理学研究
Online ISSN : 2424-1725
Print ISSN : 1880-0718
ISSN-L : 1880-0718
例題の形式と学習観が児童の算数課題の解答における複数観点の使用に及ぼす影響
鈴木 豪 , 藤村 宣之
著者情報
ジャーナル フリー

2026 年 21 巻 1 号 p. 1-12

詳細
抄録
本研究は,代表値を用いた比較課題において,例題の提示形式と学習観が児童の「複数観点」使用に及ぼす影響を検討した。公立小学校2校の6年生計163名を対象に,①架空の児童4名が各1観点を述べる例題(単一条件)と②架空の児童2名が2観点を組み合わせて述べる例題(複数条件)が記載された冊子を無作為配布し,例題と同型の事後課題の解答を分析した。解答に「2観点以上」が含まれるかを目的変数とし,条件,学校を表すダミー変数と学習観尺度得点(意味理解志向・暗記再生志向)を投入したロジスティック回帰分析を実施した。条件と意味理解志向は解答と有意な関連を示さなかった。一方で,暗記再生志向が高いほど単一観点での解答になりやすかった。次に交互作用を検討したところ,条件×学習観の交互作用が有意となり,暗記再生志向が相対的に低い児童に限って,複数条件が単一条件よりも複数観点解答の確率を高めた。なお,観点の「数」を目的変数とした順序ロジスティック回帰では有意差は認められなかった。以上より,複数観点使用の促進には例題のみならず,学習者の学習観に即した支援が有効となる可能性が示唆された。
著者関連情報
© 2026 日本教授学習心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top