抄録
本研究では,高等教育機関における発達障害学生の就職支援プロセスをソーシャル・サポート機能に基づき分析し,発達障害学生が就職するプロセスにソーシャル・サポートが与える効果を検討することを目的とした。課題を整理し,今後を見立てる段階では,道具的なサポートが重要な役割を果たしていた。就職に向けた取り組みを進めていく段階では,就労移行支援事業所による作業遂行力の向上支援や面接同行など,問題解決に一緒に取り組むサポートが行われていた。なかでも,就労移行支援事業所は,職場の開拓や面接同行を行い,就職に結びつくサポートを提供していた。これらから,本事例では,就職活動の段階においてそれぞれの支援機関と家族が各役割に応じたサポートを提供しながらソーシャル・サポートネットワークを形成しており,就労移行支援事業所がネットワーク間の調整機能を担ったことが,就職に結びつく上で効果的な役割を果たしたと考えられた。