質的心理学研究
Online ISSN : 2435-7065
何が現職教員学生を「学習者になること」から妨げるのか
模擬授業実践における学部新卒学生との経験差に着目して
園部 友里恵
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2021 年 20 巻 Special 号 p. S82-S89

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抄録

本稿の目的は,教職大学院の現職教員学生が「評価者」や「助言者」ではなく「学習者になること」を意識して 模擬授業検討会に参加したとき,彼ら・彼女らを「学習者になること」から妨げるものは何かを明らかにするこ とである。本稿では,「対話型模擬授業検討会」と呼ばれるモデルを参照した模擬授業検討会を実施し,そこに参 加した現職教員学生6 名にインタビュー調査を行った。質的データ分析の結果,【「教師」目線の染みつき】【専門 教科での「教師」目線の強まり】【「先輩教員」という立場】という3 つのカテゴリーが構築された。以上を通して, 現職教員学生は,模擬授業実践初期においては自身の専門外の校種や教科の模擬授業実践への参加によって「教 師」目線を回避し「学習者になること」の感覚を取り戻すことができると考察した。また,「学習者」目線を重視 した模擬授業検討会では,学部新卒学生のみならず現職教員学生のプレッシャーや萎縮も軽減させる可能性があ ることが示唆された。

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© 2021 日本質的心理学会
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