第四紀研究
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論説
変動地形と断層モデルからみた出羽丘陵の第四紀後期隆起過程と上部地殻の短縮変形
副田 宜男宮内 崇裕
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2007 年 46 巻 2 号 p. 83-102

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抄録

第四紀後期河成面の変位様式の解析に基づき,東北日本内弧の上部地殻の短縮による活構造の進行と,出羽丘陵の隆起過程を考察した.雄物川および岩見川流域の河成段丘面群のうち,M1面とされた地形面は洞爺火山灰(Toya)との層位関係などから,最終間氷期最盛期(125ka)に対比される.M1面の高度分布から推定される出羽丘陵の第四紀後期における平均隆起速度は最大0.5mm/yr, 横手盆地西縁で0.1mm/yrである.実際の地表変形をもとに地下の断層形状と変位量を検討した結果,北由利断層群から地震発生層下限まで延びる2つのランプを有する東傾斜の逆断層が導かれ,断層折れ曲がり褶曲の成長に伴う出羽丘陵の隆起が示された.求められた水平歪速度(6.6×10-8/年)は,出羽丘陵が第四紀後期も強短縮の場にあることを示す.また,浅部において断層面上のすべりが大きく減衰するという計算結果は,断層の深部と浅部で地殻短縮のプロセスに違いがあることを示唆する.

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© 2007 日本第四紀学会
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