20世紀の全地球的な海面上昇の速度と原因を,地球回転変動と過去140~200年間の海面変化の情報をもつ検潮儀のデータを用いて評価した.検潮儀による海面変化は,極氷床や山岳氷河の融解と地球温暖化に伴う海水膨張に依存するが,地球回転変動は海水膨張には依存しない.これらのことを考慮し,観測値と極氷床の融解による理論値を比較して,20世紀の全地球的な海面上昇を評価した.その結果,平均的な海面上昇速度(ユースタティックな海面上昇速度)は1.3mm/年以上で,南極とグリーンランド氷床の融解がそれぞれ~0.5mm/年程度寄与していることが得られた.しかし,本研究では海水膨張と山岳氷河の影響を独立に評価することはできず,今後の課題である.