第四紀研究
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「瀬戸内海の変遷—自然,環境,人」特集号
大阪湾と六甲山,淡路島周辺の活断層と第四紀における大阪・播磨灘堆積盆地の形成過程
加藤 茂弘岡田 篤正寒川 旭
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2008 年 47 巻 4 号 p. 233-246

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抄録

瀬戸内低地帯東部を構成する大阪湾周辺の活断層,とくに六甲山地や淡路島中・北部の活断層や大阪湾断層帯について記述し,それらとの関連において,第四紀における大阪堆積盆地や播磨灘の形成過程を検討した.大阪堆積盆地は約3.3~3.5 Maに形成されはじめ,約1~2 Maには大阪湾断層帯や六甲—淡路島断層帯などの活動開始により,隆起部の淡路島を境にして大阪湾側(狭義の大阪堆積盆地)と播磨灘側(東播磨堆積盆地)に分断された.約1 Ma以降は,大阪湾北西部の活断層帯で右横ずれ断層運動が顕著となり,六甲山地以西の地域の西への傾動運動が始まった.東播磨堆積盆地は,高塚山断層などの活動により約1 Maまで沈降を続けたが,断層運動の衰退と西への傾動運動により,それ以降は隆起域に転じた.一方,約1 Ma以降の傾動運動により西播磨平野や播磨灘の中・西部は沈降域(播磨灘堆積盆地)となった.約0.4 Maの高海面期には,六甲—淡路島断層帯の右横ずれ運動により局地的な低下域となった明石海峡を通じて,播磨灘にはじめて海水が侵入した.その後の播磨灘では,高海面期毎に海域が南西へと拡大していき,最終的に現在の播磨灘が形成されたと考えられる.

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© 2008 日本第四紀学会
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