第四紀研究
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「古環境変動の解明へ貢献する湖沼堆積物の役割」特集号
琵琶湖堆積物の長時間スケール層序と構造運動の復元
里口 保文
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2010 年 49 巻 3 号 p. 85-99

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抄録

人間を含めた陸上生物に対して影響を与えてきた陸域の環境変動を理解するためには,陸域において安定的に細粒砕屑物をためる湖沼環境の堆積物を対象とする研究を行う必要がある.さらに,その研究を百万年オーダーで行うためには,その対象となりうる長期にわたって湖沼環境を保った湖を対象とする必要がある.従来,湖を対象とした長時間スケールの研究は琵琶湖やバイカル湖で多かったが,近年にはICDPなどにより世界の多くの湖で行われつつある.本論では,詳しい研究が行われてきた琵琶湖を対象に,これまでの層序学的研究をまとめ,深層ボーリングコアの記載と物理探査データから,過去の堆積速度変化について検討した.その結果,琵琶湖の南湖地域と北湖地域の堆積速度は,Kb-Ksテフラ降灰時期(60~45万年前)付近まではほぼ同様であったが,それ以降には北湖側で速くなった.また,北湖地域にある中央撓曲は約44万年前までに存在していたことを明らかにした.また,琵琶湖がある場所の約44万年前と約90万年前の古地形を検討した.

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© 2010 日本第四紀学会
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