第四紀研究
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宮古島南東部,マイバー浜の津波石から採取した貝化石の較正年代
小元 久仁夫中村 俊夫
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2013 年 52 巻 1 号 p. 13-18

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抄録

宮古島南東部の海岸には,1771年明和津波やそれ以前の大津波により打ち上げられたとされる多数の岩塊 (津波石) がみられる.東平安名崎西部に位置するマイバー浜に打ち上げられたサンゴ岩塊表面の窪みの中の標高約2.4 mに付着していた合弁状態の二枚貝(エガイ:B. decussataまたはベニエガイ:Amygdaloumtostum)を採取した.この試料についてAMS14C年代測定を行い,ローカル海洋リザーバー効果を考慮して暦年代に較正した結果,西暦1712∼1840年の年代(1σ)が得られた.確率中央値の年代は1793年となり,1771年明和津波の襲来年代は1σの範囲に入る.試料とした二枚貝は,礁嶺付近の岩盤またはリーフ内のサンゴ岩塊の窪みの中に付着して棲息していたと思われる.その暦年代は,二枚貝が1771年明和津波によって岩盤から分離されたサンゴ岩塊,またはリーフ内にあったサンゴ岩塊とともにマイバー浜に打ち上げられた結果死亡した可能性が高いことを示している.

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© 2013 日本第四紀学会
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