第四紀研究
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論説
石狩低地内陸部で採取された IK1 コアが示す完新世の堆積環境・堆積速度の変化
石井 祐次伊藤 彩奈中西 利典洪 完堀 和明
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2014 年 53 巻 3 号 p. 143-156

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抄録
大規模な蛇行河川システムが発達する石狩低地内陸部を対象に,地形・堆積学的手法を用いて,その堆積環境と堆積速度の変化を検討した.調査地の堆積環境は,10,000 年前以前に網状河川システムから蛇行河川システムへと変化した.8,000 年前頃に海水準の上昇にともなう堆積中心の陸側への移動により,堆積速度が増加した.7,500 年前頃には海水準上昇速度の低下にともない,堆積速度の大幅な低下が認められた.5,000~1,500 年前には比較的連続して泥炭が堆積した.7,500 年前頃の蛇行河川システムにおける堆積速度の低下は,下流域に発達した湾頭デルタの前進開始時期とほぼ一致する.蛇行河川システムの発達も,デルタの発達と同様に海水準変動の影響を受けている可能性がある.
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© 2013 日本第四紀学会
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