第四紀研究
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53 巻, 3 号
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2012年日本第四紀学会学術賞受賞記念論文
  • 河村 善也
    2014 年 53 巻 3 号 p. 119-142
    発行日: 2014/06/01
    公開日: 2014/10/24
    ジャーナル フリー
    ここでは,私がこれまでに行ってきた研究をまとめてみた.私の研究の出発点から始めて,私の研究の基本的な考え方を述べ,次に国内各地や海外の化石産地で行った研究を実例をあげて説明した.産出した化石の系統分類学的な研究の成果とそれに関連した新しい種類の発見についても述べ,欧米の研究機関で行った研究が,のちの私の研究活動に大いに役立ったことも述べた.そのあと,私の研究のハイライトを説明した.生層序研究と動物相の変遷史の復元,動物群の移動モデル,日本とその周辺での陸橋形成とそのイメージ,津軽海峡氷橋説,「変化の穏やかな森の国」の仮説,イノシシ急増事件,琉球列島の古地理と人類の渡来,第四紀後期の哺乳類の絶滅現象である.最後に私の普及活動や学校教育に関わる研究についても紹介した.
論説
  • 石井 祐次, 伊藤 彩奈, 中西 利典, 洪 完, 堀 和明
    2014 年 53 巻 3 号 p. 143-156
    発行日: 2014/06/01
    公開日: 2014/10/24
    ジャーナル フリー
    大規模な蛇行河川システムが発達する石狩低地内陸部を対象に,地形・堆積学的手法を用いて,その堆積環境と堆積速度の変化を検討した.調査地の堆積環境は,10,000 年前以前に網状河川システムから蛇行河川システムへと変化した.8,000 年前頃に海水準の上昇にともなう堆積中心の陸側への移動により,堆積速度が増加した.7,500 年前頃には海水準上昇速度の低下にともない,堆積速度の大幅な低下が認められた.5,000~1,500 年前には比較的連続して泥炭が堆積した.7,500 年前頃の蛇行河川システムにおける堆積速度の低下は,下流域に発達した湾頭デルタの前進開始時期とほぼ一致する.蛇行河川システムの発達も,デルタの発達と同様に海水準変動の影響を受けている可能性がある.
  • 廣瀬 孝太郎, 長橋 良隆, 中澤 なおみ
    2014 年 53 巻 3 号 p. 157-173
    発行日: 2014/06/01
    公開日: 2014/10/24
    ジャーナル フリー
    福島県猪苗代湖の湖心部付近において湖底堆積物(掘削深度37.13m, コア採取深度0~28.13 m;深度は湖底面からの深さ)を掘削した.この湖底堆積物コア(INW2012)を模式コアとして,猪苗代湖層と命名する.猪苗代湖層は,岩相層序により,下部・中部・上部に3分される.下部(深度37.13~26.60m)は,砂礫層と細礫や材片を含み上下方向に岩相変化の激しい中粒砂層や砂質シルト層からなる.中部(深度26.60~24.89m)は,全体を通じて上方に細粒化する極細粒砂~シルト層からなり,材片が散在する.上部(深度24.89~0.00m)は,主に明暗縞状に細互層する粘土からなり,それとは岩相から区別されるテフラ層や粘土~砂の薄層などの非定常時の堆積物を挟在する.下部・中部・上部は,それぞれ猪苗代湖形成前の河川成堆積物,猪苗代湖形成初期の湖成堆積物,現在と同程度の大水深環境下で形成された湖成堆積物と解釈される.挟在するテフラ層のうち6層は,層相と岩石学的検討に基づき,下位よりAT, As-K, To-Cu, Nm-NM, Hr-FA, Hr-FPに対比した.また,堆積物中の材片の14C年代値と岩相層序から,猪苗代湖が湖として成立したのは約42,000年前であり,猪苗代湖層上部の堆積速度は0.3?1.0mm/yrとなる.
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