第四紀研究
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領域2 「陸上の諸プロセス」 シンポジウム特集号—その1
三陸海岸における地震サイクル解明に向けた地形・地質研究の現状と課題
丹羽 雄一
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2019 年 58 巻 1 号 p. 3-11

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抄録

海溝型巨大地震サイクルの解明に向けた,三陸海岸における地形・地質研究の現状と課題を整理した.当該海岸地域では103~104年スケールの地殻変動の推定研究として沖積層研究が行われ,南部では沈降傾向,北部では相対的に隆起傾向にあることが明らかになりつつある.一方,105年スケールの地殻変動推定の根拠とされてきた海成段丘について,当該海岸最北部では研究が進み,隆起傾向が示唆されている.しかし,他地域では,テフラに乏しく段丘の形成年代が不明であり,南部では海成段丘とされてきた平坦面がほとんど残存しない.これまでに得られた成果からは,従来単一と見なされていた三陸海岸の地殻変動区を複数にセグメント区分する必要性が示唆される.そのためには,引き続き沖積層研究を進めることに加え,海成段丘とされてきた平坦面の成因や編年を再検討することが必要である.海成段丘の編年においてはOSL年代測定が有望である.

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© 2019 日本第四紀学会
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