2023 年 62 巻 3 号 p. 89-104
野尻湖からナウマンゾウをはじめ多くの脊椎動物化石が発見されている.1962年の第1次野尻湖発掘から2018年の第22次発掘までに15,989点の資料が野尻湖発掘調査団によって得られた.本論では第1次発掘から第22次発掘の資料をもとに,タクサ別層準別化石数の特徴を明らかにした.臼歯化石については,野尻湖層立が鼻砂部層T4~T6ユニット(43.8~42.6 ka)が単位時間単位体積当たりの化石数が最も多いことが分かった.また,臼歯化石からナウマンゾウの層準別の最小個体数をもとめ,その変遷を明らかにした.その結果,年齢構成の特徴から,野尻湖におけるナウマンゾウが選択的な死による集団である可能性があることが判明した.