抄録
アロフェンおよびアルミニウムの役割に着目した腐植土生成機構に関するモデル実験として, 下記の土壤 (C層) の存在のもとでおこるピロガロール, カテコールおよびヒドロキノンの褐変反応を分光光度法によって調べた.
天文台: 腐植質火山灰土, 主な粘土鉱物, アロフェン, 善師野: 強酸性赤黄色土, モンモリロナイト, 東山: 酸性赤黄色土, カオリン鉱物,
天文台および善師野土壤の存在のもとでは, アルミニウムとプルプロガリンおよびカテコールに由来する未知物質ならびに鉄とカテコールからなる錯化合物の生成が認められた. これらの錯化合物および褐変物質の生成とそれらの土壤への吸着は, 天文台, 善師野, 東山の順に前者ほど大きいことが推論された. 用いたポリフェノールのうちでは, ヒドロキノンが最もよいモデル物質であると考えられる.