第四紀研究
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三浦半島引橋断層および北武断層の第四紀後期における変位
ウィリアムス D.N.
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1983 年 21 巻 4 号 p. 289-299

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抄録

引橋断層および北武断層に対して, 野外調査・空中写真判読・読図を行った. その結果を第四紀後期の変位の図と表にして示した. 両断層ともその変位は地形的に明瞭であり, 松田ほか (1977) による確実度Iである.
引橋断層は南側隆起であるが, 主に右ずれであり東部 (断層の走向は北80°西) では衝上の成分があり, 西部 (走向北60°西) では地溝が発達している. 北武断層は北東隆起で主に右ずれであり, 多分逆断層成分を伴っている.
表にデータを示してあるように, 引橋断層の横ずれの平均変位速度はすくなくとも約2m/1000年であり, 上下変位の平均速度は約0.5m/1000年である. 北武断層は横ずれの平均変位速度は3m/1000年以上であり, 上下平均変位速度は0.4m/1000年以上である. 両断層とも1m/1000年以上でありMATSUDA (1977) の分類によれば, A級の活断層である. 横ずれ成分と上下成分の比を用いて主短縮軸の方位を求めるとおよそ北161°東 (または341°) になる.
このような断層からの地震の再来期間の推定と三浦半島での歴史時代の地震活動とを比較してみると, 三浦半島のいずれかの活断層が数百年以内に運動することがありうると思われる.

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