第四紀研究
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中国中部黄土高原における13万年前以降の冬期季節風の強さの変遷
粒度組成による推定
肖 舉楽鄭 洪波趙 華
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1992 年 31 巻 1 号 p. 13-19

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抄録

黄土高原 (中国陜西省北部) の3ヵ所の黄土-古土壌層序について, 粒度組成の変化を検討した. その結果, 粒度組成の中央粒径値 (Md) は, 13万年前以降冬期季節風の変遷史を示唆することが判明した. 中央粒径値と冬期季節風の関係は, 後者が強い時期には中央粒径値が大きくなるという相関が見られるが, 本地域の中央粒径値の曲線分布によると, この間に三つの層準で比較的細かく, その間に2層準で比較的粗いものが見られる. このことは, 130,000~73,000年BP, 60,000~25,000年BPと10,000~5,000年BPには, 中央粒径値は小さくて, 冬期季節風が弱くなったことが推定され, 73,000~60,000年BPと25,000~10,000年BPには, 中央粒径値が増大するので, この期間は冬期季節風が相対的に強まったと推測される. 約18,000年前を中心とする前後の期間には, 中央粒径値が最大に達し, 冬期季節風が極大に達したことを示唆している. 中央粒径値指標は後期更新世の冬期季節風の変遷の解明に指示者の役割を果たすものであろう.

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