第四紀研究
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岐阜県八百津町の木曽川泥流堆積物から採取された埋没樹木の加速器14C年代
中村 俊夫藤井 登美夫鹿野 勘次木曽谷第四紀巡検会
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1992 年 31 巻 1 号 p. 29-36

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抄録

岐阜県八百津町錦織で, 木曽川泥流堆積物 (kmf) 中から6個の樹木幹片, およびkmfの直下の粘土層から2個の樹木片が採取された. 試料が採取されたkmf層は, 美濃加茂盆地の東端に分布する木曽川の中位段丘堆積物の上部にある.
タンデトロン加速器質量分析計を用いた14C年代測定により, kmfから採取された6個の樹木幹片は43,520yrs BPから51,840yrs BPまでの年代値を示した. 例外的に若い年代値43,520yrs BPを除くと, 5個の年代値の平均値は49,850±420yrs BPとなる. また, kmfの直下の粘土層から採取された2個の樹木片の年代値は47,280yrs BPと51,980yrs BPであり, 誤差範囲内でkmfの樹木幹片の年代と一致している. これらの年代値により, kmfの堆積年代は約5万年前と結論される. 本研究では, 従来kmfの年代として一般に用いられていた値 (約2.7万年前) より古い年代が得られており, これは, 木曽川に沿う段丘に堆積し, さらに濃尾平野の下層に埋没している後期更新世の堆積物やテフラの編年の再検討を促すものである.

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