第四紀研究
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日本の陸棲哺乳動物相の起源
歴史的なカテゴリーにもとづく現生種の区分
Mike Dobson河村 善也
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1998 年 37 巻 5 号 p. 385-395

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抄録

日本列島の哺乳動物相の歴史的発展過程を明らかにするために,Dobson(1994)はそれぞれの種の歴史と現在の地理的な分布の考察に基づいて,日本産陸棲哺乳類の種を7つのカテゴリーに分類することを提案している.これらのカテゴリーは明確に定義されているが,それぞれの種をどのカテゴリーに含めるかは,種の明確な系統分類学的位置と良好な化石記録を必要とする.本論文ではDobson(1994)の提唱したカテゴリーをOld Hondo Endemics, Expanding Hondo Endemics, Early Colonists, New Hondo Endemics, Late Colonists, Expanding Northern Endemicsの6つに整理し,多くの化石のデータを考慮に入れて,翼手目以外の日本産陸棲哺乳類の現生種をこれらのカテゴリーに区分することを試みた.いくつかの種の扱いはまだ試案の段階であるが,多くの主要な種についてはこれらの6つのカテゴリーに区分することができた.カテゴリーへの区分が不確実な種や,まだ区分ができない種については,その理由を示した.このように歴史的な内容によって性格づけられたカテゴリーへの区分によって,日本列島主要部の陸棲哺乳動物相の起源はより明確となり,生物地理に関する研究はよりダイナミックで歴史性の認識を明確にしたものになる.

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