第四紀研究
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37 巻 , 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 佐々木 圭一, 大村 明雄, 太田 陽子, 村瀬 隆, 吾妻 崇, 小林 真弓, 伊倉 久美子
    1998 年 37 巻 5 号 p. 349-360
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    中部琉球喜界島北東部の志戸桶北海岸を対象に,精密な地形・地質調査とサンゴ化石のαスペクトル230Th/234U年代測定を行い,完新世サンゴ礁段丘の形成過程を考察した.その結果,完新世最大海進期以降の間欠的な離水に伴い,礁斜面部におけるサンゴ礁のオフラップ成長と,各段丘内縁部での波食によって,海退性サンゴ礁段丘が形成されたことが示された.そして,ヒュオン半島と喜界島の中熊海岸および志戸桶北海岸における完新世サンゴ礁段丘形成過程の比較から,海進期堆積体の形態の違いがその上位に形成される海退性サンゴ礁段丘の形成様式に反映されていることが明らかになった.また,完新世サンゴ石灰岩堆積部を構成するサンゴ化石のαスペクトル230Th/234U年代に基づき,2回の段丘離水年代(5.1~4.0ka,2.6~2.9ka)を推定した.そして,同一段丘面をつくる更新世サンゴモ球石灰岩を切る波食面の高度から,3回の海面停滞期における低潮位高度(4.0~4.8m,2.7~3.0m,1.1~1.6m)を推定し,相対的海面変化を論じた.
  • 岡 俊太郎
    1998 年 37 巻 5 号 p. 361-370
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    琉球海溝斜面から得られたピストン・コア・サンプルについて,浮遊性および底生有孔虫のδ18O,δ13C,全有機炭素含有量,有機炭素/有機窒素の元素比,炭酸塩含有量,底生有孔虫の産出量,浮遊性有孔虫の群集についての解析を行った.
    酸素同位体層序および,3層準についてのAMS14C年代の測定結果から,このコアは過去約6万年間(酸素同位体ステージ3の始まりから)を連続的に記録していることが明らかである.さらに,底生有孔虫のδ13C,全有機炭素含有量,有機炭素/有機窒素の元素比の変化などから,最終氷期の間(特に酸素同位体ステージの2の間),この海域における海洋表層の生物生産性は,現在に比べ高かったことが推定される.また,浮遊性有孔虫の群集の変化から,ステージ2における生物生産性の向上は,寒冷水塊の発達に伴って起こっていたことが推測される.
  • 中島 正志, 藤井 純子
    1998 年 37 巻 5 号 p. 371-383
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    阿蘇火山は大型のカルデラをもつ複合火山で,約27万年前から約9万年前の間に,阿蘇カルデラを給源とする大規模な火砕流の噴出を含む噴火サイクルが4回(Aso-1,Aso-2,Aso-3,Aso-4)あったことが知られている.これらの火砕流の溶結凝灰岩を大分県と熊本県で採取し,古地磁気測定を行った.さらにAso-4については,中部・関東・東北地方の8地点で採取した降下火山灰,および宮崎県の5地点で採取した非溶結の火砕流堆積物についても測定を行った.
    溶結凝灰岩の測定からは,それぞれの噴火サイクルで特徴的な古地磁気方位が得られた.Aso-1とAso-4はほぼ北向きの通常の正帯磁の方位を示し,Aso-2は異常に深い伏角(約70°),Aso-3は大きく東偏する偏角(約35°)を示すことがわかった.
    Aso-4では,サブユニットの4Aと4Bで古地磁気方位に差がみられ,4Bの伏角は4Aより約5°浅くなった.広域型降下火山灰および宮崎の火砕流堆積物は,4Aの方位とほぼ同じであった.
  • Mike Dobson, 河村 善也
    1998 年 37 巻 5 号 p. 385-395
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    日本列島の哺乳動物相の歴史的発展過程を明らかにするために,Dobson(1994)はそれぞれの種の歴史と現在の地理的な分布の考察に基づいて,日本産陸棲哺乳類の種を7つのカテゴリーに分類することを提案している.これらのカテゴリーは明確に定義されているが,それぞれの種をどのカテゴリーに含めるかは,種の明確な系統分類学的位置と良好な化石記録を必要とする.本論文ではDobson(1994)の提唱したカテゴリーをOld Hondo Endemics, Expanding Hondo Endemics, Early Colonists, New Hondo Endemics, Late Colonists, Expanding Northern Endemicsの6つに整理し,多くの化石のデータを考慮に入れて,翼手目以外の日本産陸棲哺乳類の現生種をこれらのカテゴリーに区分することを試みた.いくつかの種の扱いはまだ試案の段階であるが,多くの主要な種についてはこれらの6つのカテゴリーに区分することができた.カテゴリーへの区分が不確実な種や,まだ区分ができない種については,その理由を示した.このように歴史的な内容によって性格づけられたカテゴリーへの区分によって,日本列島主要部の陸棲哺乳動物相の起源はより明確となり,生物地理に関する研究はよりダイナミックで歴史性の認識を明確にしたものになる.
  • 熊原 康博
    1998 年 37 巻 5 号 p. 397-409
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    四国北西部肱川流域には4段の河成段丘(H1,H2,M,L)が発達する.H1段丘は,肱川流域でほぼ連続的に分布し,堆積物中にNg-1,加久藤テフラを挾在することから,H1段丘は250~300ka以降に離水したと推定した.
    H1段丘面と現河床の比高が四国山地側で増大することから,西への傾動運動が認められ,傾動速度は1.8~2.2×10-8/yr.である.この傾動は四国山地の緩慢な隆起運動を反映していると考えられる.大洲より下流では,河口側でH1段丘の比高が増大することから南東への傾動運動が認められ,傾動速度は2.0~2.4×10-8/yr.である.この傾動は,中央構造線活断層系の横ずれ運動に伴う山地の隆起を反映していると考えられる.平均高度から推定された100万年間の平均隆起速度(大森,1990)と本研究で求めた隆起速度は,肱川中流域においてほぼ一致することから,四国北西部の四国山地では等速な隆起が継続していると考えられる.
  • 植木 岳雪, 岩田 修二, 塚本 すみ子
    1998 年 37 巻 5 号 p. 411-418
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    岐阜県上宝村に分布する下部更新統福地凝灰角礫岩層の礫のファブリック・礫種組成と,上宝村栃尾温泉における蒲田川現河床の礫種組成を調査した.福地凝灰角礫岩層における礫種組成は,北東にある穂高岳周辺の現在の地質に相当し,笠ヶ岳周辺に分布する流紋岩類が含まれない.また,礫のファブリックによれば,東から西へあるいは北から南への古流向を示す.これらのデータから,福地凝灰角礫岩層は上高地付近から高山方面に西流する“古梓川”によって堆積したと推定され,当時焼岳周辺には現在と同様な起伏をもつ火山が存在しなかったと考えられる.
  • 荒川 忠宏, 山崎 理子
    1998 年 37 巻 5 号 p. 419-424
    発行日: 1998/12/31
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
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