第四紀研究
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相模湾の海底地形と地質構造
加藤 茂
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1999 年 38 巻 6 号 p. 469-477

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抄録

相模湾には,フィリピン海プレートと東北日本のプレートとの境界が横切ると考えられている.また,1923年の関東地震の震源が相模湾にあり,神奈川県西部地震も隣接して発生すると考えられている.相模湾については,これまで多くの手法で頻繁に海底地形・構造探査が行われてきた.相模湾の海底地形は複雑で,多くの海丘,海底谷,深い相模トラフ,南西部の海底火山からなる海丘群など,さまざまな地形が見られる.
反射法あるいは屈折法による探査結果からは,相模海盆において伊豆半島側から北東方向に斜めに傾き下がる基盤反射面が見られ,またトラフを埋める厚さ4kmを超える堆積構造など,海底から深さ約5~10kmまでの構造が明らかとなった.しかし,これらの記録からは,相模トラフにおけるフィリピン海プレートの沈み込みを明瞭に示す構造や,相模湾西部に西相模湾断裂を示唆する構造は得られていない.
相模湾のテクトニクスの解明は,関東東海地域の地震防災の観点から重要であり,今後さらに効果的かつ詳細な海底探査が望まれる.

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