2000 年 39 巻 1 号 p. 15-23
八ヶ岳東麓から関東平野にかけて分布する中期更新世テフラの対比を検討した.層序学的位置,岩相・岩石記載的特徴から,房総半島の藪層中に挾在するYb1・Yb1直下の軽石層(Yb0.5)をそれぞれ八ヶ岳のKt-1・2Py.黄Pm.にセットで対比した.また,房総半島の地蔵堂層中に挾在するJ4・J4upを,それぞれ関東平野のTE-5・TE-5up,HBP・HBPupにセットで対比し,J4は八ヶ岳のB0に対比されることを明らかにした.
房総半島のJ4は酸素同位体ステージ11.3の最温暖期直後の時期に,Yb1はステージ9.1の最温暖期の直前の時期に降灰した.Yb1とKt-1とを対比したことで,ステージ9.3の時代の大阪層群のMa10に対比される海成層は,房総半島に存在しないという可能性が指摘される.また,中部地方に広く分布する指標テフラであるAPmテフラ群は,ステージ11.2から11.1にかけての時期に降灰したものと考えられる.