第四紀研究
Online ISSN : 1881-8129
Print ISSN : 0418-2642
ISSN-L : 0418-2642
北海道北部における後期更新世,広域風成塵起源粘土層の層序と分布
伊藤 友彦伴 かおり両角 拓當眞 陽子柳井 清治鴈澤 好博
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 39 巻 3 号 p. 199-214

詳細
抄録

北海道北部に分布している後期更新世の広域風成塵起源の堆積物について,野外調査からその層序,分布を明らかにした.広域風成塵起源と考えられる風成粘土層は,下部粘土層と上部粘土層の2層に区分され,その堆積時代はそれぞれ約110kaから20ka,および約20kaから10kaまでの最終氷期である.また平均層厚は,下部粘土層で約130cm,上部粘土層で約30cmである.粘土層は20μm以下の微細な粒子が卓越し,鉱物の分析から,広域風成塵と共通な石英,長石類に加えて,粘土鉱物としてイライト,バーミキュライト,スメクタイト,カオリナイトなどが確認された.また,これらと同層準の粘土層から抽出された微細石英粒子のδ18O値は14.2~20‰である.こうした点から,北海道北部で従来「重粘土」と一括されてきた風成粘土層は,広域風成塵にその起源を求めることができ,後期更新世を通して連続的に供給されたことが明らかとなった.風成粘土層の堆積速度は14~30mm/kyrであった.

著者関連情報
© 日本第四紀学会
前の記事 次の記事
feedback
Top