第四紀研究
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北海道駒ヶ岳起源の広域テフラ,駒ヶ岳gテフラの分布と噴出年代
中村 有吾平川 一臣
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2004 年 43 巻 3 号 p. 189-200

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抄録

北海道駒ヶ岳から噴出した駒ヶ岳gテフラ(Ko-g)は,北海道南部から東部に広く分布する広域テフラである.Ko-gは,駒ヶ岳北側斜面において層厚1mを超える降下軽石で,3層のフォールユニットが認められる.給源から約360km離れた厚岸町では,層厚5cm,中粒砂~細粒砂サイズの降下火山灰が認められる.このことから,Ko-gの分布は広く,Ko-gの噴出は大規模な噴火だったと考えられる.Ko-gの岩石学的特徴は,スポンジ状火山ガラス,斜長石,斜方輝石,単斜輝石を含むこと,脱水ガラス屈折率がn=1.500-1.505を示すことである.
十勝平野南部の泥炭地においてKo-g直上および直下の層準から採取したミッガシワ(Menyanthes trifoliata)の種子から得た14C年代は,それぞれ5,770±40および5,760±40yrs BPであった.Ko-gの噴出は,暦年補正値を考慮すると6,500~6,600cal yrs BPころと考えられる.
Ko-gは,北海道の完新世編年上,重要な示標テフラである.とくに,縄文時代遺跡,縄文海進堆積物,津波堆積物,斜面堆積物などを編年する上で重要な鍵となる.

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