抄録
大阪平野における最終氷期の堆積物とされる天満層の分布について,地盤データベースを用いて再検討を行った.その結果,平野地下の埋没谷を充填する礫層の存在が明らかになった.この埋没谷は,低位段丘堆積層・中位段丘堆積層相当の地層を下刻して,淀川・猪名川・第二寝屋川(旧大和川)などに沿って,その地下に存在する.埋没谷を充填する礫層は,明らかに低位・中位段丘堆積層相当層とその分布を異にしている.従来得られている14C年代値を考慮すると,この礫層は最終氷期最寒冷期以降で1万年前までの堆積物とみなされ,難波累層の基底礫層として位置づけられる.さらに,この礫層を難波累層に含めて,難波累層の基底面分布から2万年前ごろの古地形の再現を試みた結果,上町断層東側の傾動ブロックの横構造地形を切って,先行河川として古大和川・古淀川が発達していたことが判明した.