2022 年 29 巻 1 号 p. 33-43
[目的]特別養護老人ホーム(以下,特養)の介護福祉士の看取り観に影響を与える要因を検討する.[方法]介護福祉士151人に,ターミナルケア態度尺度および死生観尺度の質問紙調査を行い(回収率56.3%),その得点について記述統計を算出し,最終的に,ターミナルケア態度尺度の総得点を目的変数に年齢,性別,家族の看取り体験,職場経験年数,死生観尺度(I世界観,IV回避,V目的意識)を説明変数とした重回帰分析を行った.[結果]介護福祉士の看取り観に対する影響は,家族の看取りを経験したことがある人,職場経験年数,死生観尺度の《死後の世界観》の得点が高いの3つの要因であることが明らかになった.[結論]介護福祉士の看取り観には,家族の看取りや職場経験年数と合わせて,個人の感情や価値観が影響しており,看取りに関する教育や研修には死や生に対する介護福祉士自身の価値観を深めるような学びを取り入れる必要があることが示唆された.