2024 年 31 巻 2 号 p. 127-132
[目的]終末期高齢がん患者が,本人および家族の希望によりデイサービスと宿泊サービスを併用して利用することで,最期まで本人の意思と尊厳を尊重しつつ穏やかな看取りが行われた.しかし,介護保険法や厚生労働省の指針においてデイサービスや宿泊サービス利用中の看取りについて定めがないため,その可能性と有用性を分析する.[方法]本事例の70代女性は直腸がんおよび多発性肺転移の既往歴があったが,デイサービスと宿泊サービスを併用することにより高いQOLを維持できた.利用開始から10カ月後,宿泊サービス利用中に施設長,夜勤介護者,家族により穏やかに最期の看取りが行われた.施設長が事例をまとめ,関係者から事例報告の了承を得た.[結果]デイサービスと宿泊サービスを併用した看取りは可能であり有用性がある.[結論]デイサービスと宿泊サービスが併用される場合の看取りについて,国により明確な指針が立てられる必要がある.