JARI Research Journal
Online ISSN : 2759-4602
技術資料
誘導結合プラズマ飛行時間型質量分析計を用いたリン,硫黄,ハロゲン元素の同時測定
萩野 浩之
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2018 年 2018 巻 6 号 論文ID: JRJ20180604

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抄録
 誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)は,微量元素の高感度な分析を行うために広く用いられているが,さまざまな課題が残されている.リンや硫黄,ハロゲン類は,エンジンオイルの添加物に含まれる重要な元素であるが,イオン化効率は,それぞれ33 %(P),14 %(S),9×10-4%(F),0.9 %(Cl),5 %(Br)であり,他のイオン化効率の高い元素,例えば亜鉛(75 %)やモリブデン(98 %)と比べて,検出効率が低い.さらに,炭素,窒素,酸素由来の多元素イオンから受ける干渉が問題となり,これらを分離して計測することが望まれる.  近年,従来のICP-MSに質量分解能が高い飛行時間型質量分析計を搭載した誘導結合プラズマ飛行時間型質量分析計(ICP-TOFMS)が開発され,自動車排出粒子に含まれるエンジンオイル添加物由来のリンや硫黄を連続的に測定する技術へと応用されている.しかし,ハロゲン類については計測されておらず,その性能範囲が分かっていない.  本研究では,エンジンオイルの添加物に含まれる重要な元素のうち,従来のICP-MSでは測定が困難であったハロゲン類に加え,リンや硫黄を含めたICP-TOFMSによる同時計測の可能性を調査した.
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© 2018 一般財団法人日本自動車研究所
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