JARI Research Journal
Online ISSN : 2759-4602
2018 巻, 6 号
JARI Research Journal 2018年6月号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
研究速報
  • 山田 英助
    原稿種別: 研究速報
    2018 年2018 巻6 号 論文ID: JRJ20180605
    発行日: 2018年
    公開日: 2025/11/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
     水素を燃料とした燃料電池自動車(FCV)が,次世代の自動車として世界中で研究開発されている.常温常圧下における水素の単位体積あたりのエネルギーは著しく小さいため,専用のタンクに最大70MPa(15℃基準)まで水素を圧縮してFCVに搭載している.車両火災時の内圧上昇によるタンクの破裂を回避するため,高圧水素を短時間で排出する熱作動型の安全弁がタンクには備わっている.安全弁が作動すると短時間に大量の水素が噴出されるため,数メートル規模の火炎が瞬間的に形成される.一方,FCVに水素を供給する水素ステーションでも高圧水素の漏洩噴出事故が想定され,爆発的な火炎の形成が懸念される.  一般財団法人日本自動車研究所(JARI)の水素・燃料電池自動車安全評価試験設備(Hy-SEF)では,このような様々な火災実験や漏洩爆発実験を実施して周囲の影響を評価している.その評価の一つには,火災周囲の人に対する火傷の評価がある.この評価は,Eisenbergらによる単純化された式に測定した熱流束を適用して行っている.しかしながら,この式では表皮のみの軽い損傷の火傷しか評価ができない欠点がある.そこで,より深い皮膚層に達する重度の火傷までを対象とする火傷評価の数値シミュレーションモデルの開発を行った.
技術資料
  • 萩野 浩之
    原稿種別: 技術資料
    2018 年2018 巻6 号 論文ID: JRJ20180604
    発行日: 2018年
    公開日: 2025/11/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
     誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)は,微量元素の高感度な分析を行うために広く用いられているが,さまざまな課題が残されている.リンや硫黄,ハロゲン類は,エンジンオイルの添加物に含まれる重要な元素であるが,イオン化効率は,それぞれ33 %(P),14 %(S),9×10-4%(F),0.9 %(Cl),5 %(Br)であり,他のイオン化効率の高い元素,例えば亜鉛(75 %)やモリブデン(98 %)と比べて,検出効率が低い.さらに,炭素,窒素,酸素由来の多元素イオンから受ける干渉が問題となり,これらを分離して計測することが望まれる.  近年,従来のICP-MSに質量分解能が高い飛行時間型質量分析計を搭載した誘導結合プラズマ飛行時間型質量分析計(ICP-TOFMS)が開発され,自動車排出粒子に含まれるエンジンオイル添加物由来のリンや硫黄を連続的に測定する技術へと応用されている.しかし,ハロゲン類については計測されておらず,その性能範囲が分かっていない.  本研究では,エンジンオイルの添加物に含まれる重要な元素のうち,従来のICP-MSでは測定が困難であったハロゲン類に加え,リンや硫黄を含めたICP-TOFMSによる同時計測の可能性を調査した.
研究活動紹介
  • -実交通環境および道路構造における二輪車のエクスポージャ事例検討-
    金子 貴信, 長谷川 信
    原稿種別: 研究活動紹介
    2018 年2018 巻6 号 論文ID: JRJ20180606
    発行日: 2018年
    公開日: 2025/11/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
     自動車の電気/電子システムの機能安全国際規格ISO 26262は2011年に発行され,2018年に予定されている第2版では二輪車も対象に含まれる.ISO 26262を二輪車に適用する場合には,エクスポージャ(E), コントローラビリティ(C), シビアリティ(S)の適切な見積もりがモータサイクル用安全度水準(以下,「MSIL: Motorcycle Safety Integrity Level」という)の決定において重要な要素となる.エクスポージャは電気/電子システムの故障により危険な運用状況になりうる確率を表わす要素である.二輪車のエクスポージャを見積もることは四輪車と比較し運用状況のデータが少ないため容易ではない.そのためMSIL導出の論拠を提示するためには,実交通環境などでの二輪車の運用状況の調査が必要である.本調査では,第2版にPart12として織り込まれることとなった二輪車のISO/PAS 19695に準拠したハザード分析およびリスクアセスメント(以下,「HARA」という)を実施するために必要となる二輪車特有の運用状況を元に,交通調査などにより二輪車の走行に関わるデータを収集し,エクスポージャを検討した.本稿ではエクスポージャ導出に必要な基礎データおよびエクスポージャの事例を示す.
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