自動車の電気/電子システムの機能安全国際規格ISO 26262は2011年に発行され,2018年に予定されている第2版では二輪車も対象に含まれる.ISO 26262を二輪車に適用する場合には,エクスポージャ(E), コントローラビリティ(C), シビアリティ(S)の適切な見積もりがモータサイクル用安全度水準(以下,「MSIL: Motorcycle Safety Integrity Level」という)の決定において重要な要素となる.エクスポージャは電気/電子システムの故障により危険な運用状況になりうる確率を表わす要素である.二輪車のエクスポージャを見積もることは四輪車と比較し運用状況のデータが少ないため容易ではない.そのためMSIL導出の論拠を提示するためには,実交通環境などでの二輪車の運用状況の調査が必要である.本調査では,第2版にPart12として織り込まれることとなった二輪車のISO/PAS 19695に準拠したハザード分析およびリスクアセスメント(以下,「HARA」という)を実施するために必要となる二輪車特有の運用状況を元に,交通調査などにより二輪車の走行に関わるデータを収集し,エクスポージャを検討した.本稿ではエクスポージャ導出に必要な基礎データおよびエクスポージャの事例を示す.
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