中小企業会計研究
Online ISSN : 2435-8789
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英国および米国におけるSMEs監査の現状
佐久間 義浩
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 2018 巻 4 号 p. 18-33

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抄録

 中小企業会計にとって,計算書類の信頼性をいかに保証するかという問題がある(河﨑 2016;2017)。そこで本稿は,先行ケースとして,英国および米国を取り上げ,両国のSMEs の状況およびSMEs 監査制度を概説するとともに,SMEs に対する会計専門職からのサービスの提供について考察する。

 本稿の分析から,英国や米国におけるSMEs は,経済活動の多くの割合を占めていることが明らかになった。またSMEs 監査制度について,英国では,小規模企業について免除規定があるものの,原則,会社法で一般目的の財務諸表の監査を義務付けている。他方,米国では,SEC 登録会社を除く会社について,外部監査を受ける場合でなければ,FASB が公表している会計基準などに従う必要がない。しかし,小規模企業の中には,FRF for SMEs やOCBOA を適用している場合がある。そして,FRF for SMEsやOCBOA に基づいて作成される財務諸表は特別目的の財務諸表といわれ,この特別目的の財務諸表の信頼性を検証するため,AU-C800(AS3305)に基づきレビューや監査が行われている。

 さらにSMEs に対する強制的な監査制度の導入については根強い反対があるものの,SMEs の会計情報の信頼性を確保するうえで,監査業務以外による会計専門職からのSMEs へのサービスの提供も様々な形態で行われている。

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© 2018 中小企業会計学会
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