中小企業会計研究
Online ISSN : 2435-8789
Print ISSN : 2189-650X
IFRS for SMEs の改訂に関する一考察
―Section29 法人所得税を中心に―
櫛部 幸子
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 2019 巻 5 号 p. 46-58

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抄録

 本論文は,国際会計基準審議会・IASB(International Accounting Standards Board)より公表された中小企業向け国際財務報告基準・IFRS for SMEs(International Financial Reporting Standardfor Small and Medium‐sized Entities.) の最初の改訂作業について取り上げるものである。

 まず,2009 年7 月のIFRS for SMEs 公表後に行われた改訂作業の経緯を説明し,各作業段階のコメントレターの内容や各国・各組織の対応を明らかにする。特に,この改訂において大きく変更がなされたSection の1つである「Section29 法人所得税」のコメントレターを取り上げ,このSection29 の改訂に関し,各国がどのような意見を述べているのかを明らかにする。ここから,「IFRS for SMEs」に対し各国がどのような意見を持っているのか,ひいては中小企業会計基準に対しどのような意向を持っているのかを明らかにすることを試みるものである。

 さらに,初版のIFRS for SMEs 策定の際のコメントレターの内容と比較し,各国・各組織の意向がどのように変化しているのかも明らかにする。

 これらの結果から,今回の改訂におけるIASB の戦略的な意向を明らかにし,今後我が国の中小企業会計基準がどのような方向へ向かうのかを検討するものである。

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© 2019 中小企業会計学会
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