日本テスト学会誌
Online ISSN : 2433-7447
Print ISSN : 1880-9618
事例研究論文
看護系大学共用試験(CBT)項目バンク構築における潜在ランク理論の適用と評価
光永 悠彦
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 11 巻 1 号 p. 61-80

詳細
抄録

看護系大学の臨地実習前の学生が必要な知識と適性を有するかを判断するために,看護学の18 分野について大学間共通のCBT(Computer Based Test)を導入する計画において,CBT 実施に先立ち,項目バンク構築に向けた試行試験を行い,多数の項目について項目特性を推定する必要が生じた. 多数の項目に対し少数の受験者から項目特性を推定する必要があるため,本論では比較的少数の受験者データからでもIRT(item response theory)と同様に解釈可能な項目特性を推定できる潜在ランク理論(latent rank theory, LRT, Shojima, 2009)を適用した. 事前分布を指定したIRT による項目特性推定値と,事前分布なしの LRT の結果を比較したところ,項目特性及び能力値の大部分について IRT とLRT が同じ傾向の推定値となった. この結果から,LRT がIRT の代替として機能し得ることを示した. 同時に,LRT を項目バンク構築に用いる場合の課題を指摘した.

著者関連情報
© 2015 日本テスト学会
前の記事 次の記事
feedback
Top