赤門マネジメント・レビュー
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査読つき研究ノート
アクセラレータによるスタートアップ・コミュニティの戦略的構築
台湾のAppWorks(之初創投)の事例研究
岸本 千佳司
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 20 巻 1-2 号 p. 1-42

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抄録

スタートアップ支援の仕組みとしてのアクセラレータは、米国で2005年に創設されたY Combinatorに始まり世界中に広まった。本研究で取り上げる「AppWorks (之初創投)」は、2009年設立で台湾最初期の民間アクセラレータであり、卒業生起業家等によって構成されるコミュニティの規模ではアジア最大級とされる。AppWorksの特徴は、明確な戦略性にある。ビジネス領域ではインターネット産業 (広義にはデジタルエコノミー)、目指すべき市場としては大東南アジア圏 (ASEAN+台湾、香港) にフォーカスする。また、独自のベンチャーキャピタル・ファンドの運営も行い、アクセラレータ卒業生および他の有望なスタートアップに投資している。これを通して、相互扶助と「恩送り」のカルチャーを持つスタートアップ・コミュニティの構築を進め、台湾の電子ハードウェア産業に偏った経済成長モデルの転換を促そうと志してきた。本研究の目的は、アクセラレータも企業と同様、戦略的な経営を行うことで優れたパフォーマンスとユニークな存在感を示すことが出来ることを、AppWorksの事例分析を通して示すことである。AppWorksの「戦略ストーリー」を描くことで、戦略としての一貫性や独自性を検討する。

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