日本テスト学会誌
Online ISSN : 2433-7447
Print ISSN : 1880-9618
一般研究論文
認知診断モデルにおけるQ 行列の誤設定が診断精度に与える影響
認知の階層構造を考慮した場合の検討
山口 一大
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2017 年 13 巻 1 号 p. 17-32

詳細
記事の1ページ目
抄録

認知診断モデル(Cognitive diagnostic models: CDM)は生徒のアトリビュートの習得パタンを検査するのに有用であるが,Q 行列の誤設定によって不正確な測定につながりうる。本研究の目的は,アトリビュート階層構造 (Attribute hierarchy structures, AHS)と呼ばれる構造を伴うQ行列の誤設定の生徒のアトリビュート習得パタンの推定と項目パラメタの推定への帰結を,シミュレーションにより検証することであった。結果として,1. すべてのAHS で誤設定によるアトリビュート習得パタンの精度の減少がみられ,特に,分岐型構造で顕著であった, 2. Q 行列のサイズに占める誤設定の割合を小さくできれば誤設定の影響は緩和できる可能性がある,3. サンプルサイズは誤設定の帰結に影響しない,4. 特定の構造では誤設定の影響は設定が正しい項目のパラメタにも影響しうる,ということが明らかとなった。

著者関連情報
© 2017 日本テスト学会
前の記事 次の記事
feedback
Top