2023 年 19 巻 1 号 p. 111-133
総合型選抜および学校推薦型選抜で課される「基礎学力把握のための筆記またはCBTによる簡易な検査」(「検査」と略記)に関して,「検査」の名称に含まれる語に着目して四つのグループに分け,それぞれのグループの「検査」の特徴を教科・科目への言及に着目して分析した。「検査」の名称に「学力」という語を含むグループでは,総合型選抜でも学校推薦型選抜でも,特定の教科・科目に基盤をおいて基礎学力を評価しようとする傾向が非常に強くみられた。「検査」の名称に「学力」という語を含まないグループについては,学校推薦型選抜では,教科・科目に基盤をおく「検査」が実施される傾向が強いのに対して,総合型選抜では,教科・科目に言及しない「検査」を実施する大学数が学校推薦型選抜より多い。募集要項等では,「検査」に関して,基礎的な問題を出題することや,出題範囲や分野の限定,教科書を参照した難易度の目安の説明などがみられる。