本稿の目的は,全米教育統計センター(NCES)が実施する大規模学力パネル調査の特徴を整理し,そこから日本の学校を対象とした大規模学力調査の在り方に関する示唆を得ることである。具体的には,以下の3点から整理を行う。(1)米国のNCESが実施する大規模パネル学力調査は1970年代以降,どのように発展・変化してきたのか。(2)これら大規模学力パネル調査を実施するために,どのような調査実施体制がとられているか。(3)NCESが実施する大規模学力パネル調査の主たるテーマである「格差」の視点が調査設計にどのように表れているか。
分析の結果,日米の大規模学力パネル調査の蓄積に大きな差があること,その差は彼我のテスト文化の違いのみならずテストを支える体制・雇用慣行の違いによること,何のために学力テストを実施するのかという目的意識が重要であること等が示された。
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