2025 年 21 巻 1 号 p. 37-47
2020年のコロナ禍では緊急事態宣言の発出に伴って,2ヶ月に亘って英語リスニング用の音声収録ができなかった。その経緯をふまえ,緊急時の代替方式として深層学習に基づくテキスト音声合成による合成音声の利用可能性を検討した。大学入学共通テストでのリスニングのスクリプトを基に,Google の Tacotron 2 で英語音声を合成してテストを作成した。実験では,首都圏の国公立大学1年生246名が,合成音声の混在するリスニングテストに解答した。その結果の報告と共に,単に録音工程の代替法に留まらず,音声項目の大量生産も視野に入れた合成音声の利用とその利点についても考察する。