2008 年 4 巻 1 号 p. 125-133
本研究では多枝多答式項目を含むテストを名義カテゴリモデルによって分析した.その結果,各項目ごと各選択枝の選ばれやすさが潜在特性値の関数として表現された.そこから,項目のいくつかには「魅力的な誤答となる選択枝」があることが確認された.また,誤答分析や多枝選択式項目の分析において有用であるとされている名義カテゴリモデルが,複数の正答パタンを持つような多枝多答式項目についても有用な知見をもたらすことが確認された.さらに,多枝多答式項目を分析する際のデータのコーディング方法について検討が加えられた.その結果,名義カテゴリモデルを用いて回答パタンごとにパラメタを推定するような方法が最も情報量が大きくなることが確認された.