日本テスト学会誌
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Print ISSN : 1880-9618
論文
適性試験の成績に基づく法科大学院別の新司法試験合格率の予測
-既修および未修コースに関する検討-
椎名 久美子杉澤 武俊小牧 研一郎櫻井 捷海
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2008 年 4 巻 1 号 p. 101-112

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抄録

本稿では,各法科大学院の入学者集団に着目して,大学入試センター法科大学院適性試験の予測妥当性に関する検討を行った.法学既修者については,適性試験得点が法科大学院共通のある閾値を超えた者が新司法試験に合格するという仮定のもとに,複数年の新司法試験を積算した合格率の推定式を定義して,適性試験の成績と複数年の新司法試験の積算合格率の関係をモデル化した.モデル式は,既修者に関する複数年の新司法試験の積算合格率をある程度予測することができた.また,予定年限で新司法試験に合格するための適性試験得点の閾値が,平成16年度と平成17年度の既修コース入学者で安定していることが示された.法学未修者については,既修者に関するモデルに,適性試験得点が法科大学院共通のある閾値を超えた者が予定年限で課程を修了して新司法試験の受験に至るという仮定を加えた.モデルによって,未修者が予定年限で新司法試験に合格するための適性試験得点の閾値が,同じ入学年度の既修者に比べて非常に高いことが説明された.

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© 2008 日本テスト学会
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