日本テスト学会誌
Online ISSN : 2433-7447
Print ISSN : 1880-9618
論文
一般化可能性理論による日本語口頭プレースメントテストの検討
坂野 永理
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2008 年 4 巻 1 号 p. 23-32

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抄録

本研究は、日本語の口頭プレースメントテスト分析における一般化可能性理論の適用の可能性を検討する。研究の目的は、一般化可能性理論を使用し、受験者、評定者、設問とそれぞれの交互作用がテストの分散にどの程度寄与しているかを調べ、このテストに最適な設問数と評定者数を見いだすことにある。61人の評定者が6人の中国人話者の口頭テストを評価した。テストは3つの設問から成る。結果は、受験者のテスト得点がその口頭能力によりうまく散らばっていることが判明したが、評定者一人、設問数一問というテスト形式では、受験者の能力以外の要因によりテスト得点に誤差の生じる可能性が少なくないことも明らかになり、複数の評定者と設問が必要であることが示唆された。また、テストに関わる様々な要因を考慮した結果、本プレースメントテストの最適な評定者数は二人、設問数は二問という結論を得た。本研究は一般化可能性理論が口頭テストの分析及び開発にとって有用であるということを示すものである。

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© 2008 日本テスト学会
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