2011 年 7 巻 1 号 p. 15-22
共通受験者デザインを適用してテストの等化を実施する場合に,等化係数の推定には,Mean & Sigma 法がよく用いられている.しかしながら,等化すべき2つのIRT尺度に含まれる項目数が異なっている場合などには,推定尺度値に含まれる誤差成分の大きさが尺度間で異なり,この影響でMean & Sigma 法では適切な等化係数の推定値が得られないことがある.本研究では,推定尺度値の分散に含まれる誤差成分の大きさを推定し取り除くという補正方法を提案した.
この補正方法についてシミュレーション・データを用いて検討した結果,等化する尺度間で推定尺度値の誤差分散の大きさに違いがあるほど,また,尺度に含まれる項目の識別力パラメタが全体的に小さい値を示す場合ほど,顕著な効果のあることが示された.