日本テスト学会誌
Online ISSN : 2433-7447
Print ISSN : 1880-9618
一般研究論文
クロンバックのαに代わる信頼性の推定法について
-構造方程式モデリングによる方法・McDonald のωの比較-
岡田 謙介
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 7 巻 1 号 p. 37-50

詳細
抄録

テストの信頼性を推定するためにもっともよく知られた指標はクロンバックのαであるが,αは多くの現実的な場面において信頼性を過小推定することが先行研究により繰り返し指摘されている.信頼性の研究は近年再び盛り上がりを見せており,信頼性の推定法としてMcDonald のωh・ωtを推奨する報告,および構造方程式モデリングに基づく方法を推奨する報告がそれぞれ複数ある.しかし,この両者の方法論を直接比較したシミュレーション研究は行われていない.そこで,本研究では真のモデル構造・係数の値・標本数・項目数を操作したシミュレーション実験を実施し,上述の有望と考えられている指標間の挙動の比較を行った.その結果,群因子数を3とした場合のωh・ωtは大きなバイアスを示した.タウ等価モデル・同属モデルによるSEMの推定と群因子数を1としたωtはバイアスが小さく,これらの方法が推奨されると考えられる.また真のモデル構造が明らかな場合には,SEMを用いた推定がバイアスが小さく,推奨される.

著者関連情報
© 2011 日本テスト学会
前の記事 次の記事
feedback
Top