主催: 視覚障害リハビリテーション協会
【目的】
アッシャー症候群の盲ろう者は、聴覚障害児として生まれ、青年期等に網膜色素変性症で視力低下や視野狭窄等の視覚障害が進行する。聴覚障害者として就労後、視覚障害が進行し、配置転換等を経て一定期間就労を継続している。しかし、最終的には、業務遂行が困難となり、やむを得ず離職に至る。離職することにより社会とのつながりをたたれ、孤立し、将来に悲観する人も多い。しかし、多くの盲ろう者は、職業に就くこと、仕事を継続することを強く望んでいる。
アッシャー症候群の盲ろう者の就労継続に向けた要因及び阻害要因を明らかにし、就労継続の可能性について研究をすることを目的とする。
【対象】
平成18年厚生労働省の「身体障害者実態調査」による全国の盲ろう者は22,000人であり、その盲ろう者のうちアッシャー症候群の盲ろう者の数や実態は把握されていない。アッシャー症候群の盲ろう者は、ある程度限定されているので、盲ろう者関係団体の活動に参加するアッシャー症候群の盲ろう者を選出する。就労継続中の者3名、離職後10年程度の者3名、計6名を対象とする。
【調査方法】
・半構造化面接を実施する。
・対象者は、アッシャー症候群の盲ろう者であるため、インタビューは盲ろう者の障害特性を考慮し、調査員自身の手話を用いて実施する。及び調査対象者の手話表現は、同席を依頼した手話通訳士と共同して手話を読み取り音声として録音する。調査研究は本大学の研究倫理審査を経ている。
【結果】
平成23年5月現時点では、対象者、就労継続中(3名)、離職者(3名)のインタビュー調査は終了し、現在、分析を実施しているところである。
就労継続理由として見えてきたことは、歩行訓練、事業所内の環境整備、配置転換等であり、離職理由としては、移動困難・作業遂行困難・コミュニケーション困難等がある。