抄録
【目的】
平成22年度,23年度に厚生労働省、国立障害者リハビリテーションセンター、全国盲ろう者協会などにより連携して実施された盲ろう者宿泊型生活訓練等モデル事業において、利用者の情報補償と孤立解消のために配置された通訳・介助員の課題を明らかにすることを目的とする。
【方法】
モデル事業の前半に配置された通訳・介助員54名に対して、3つの勤務時間帯別(訓練、夜勤、休日)に関する困難頻度を質問紙法により調査した。
【結果】
訓練時間帯における通訳・介助業務の特殊性は「専門的知識が必要とされる訓練科目がある」「状況説明を訓練支援員とどのように分担するか」に集約された。派遣事業では問題になりにくかったが、モデル事業の訓練時間帯及び訓練以外の生活時間帯(平日夜及び休日)における通訳・介助について目立った課題として「盲ろう者と通訳・介助員双方の疲労」「応答双方の手話を発声すること」「触手話の読み取りが円滑にできるまでには時間がかかること」「複数の盲ろう者間の会話の困難」が多く回答された。また、「通訳・介助員に対する事前の説明会」「盲ろう者に対する通訳・介助や盲ろう者同士のコミュニケーションに関する研修」が要望された。さらに、困難を感じる頻度と手話通訳士資格の有無、年齢、学歴の間には強い関係はなかった。
【考察】
以上の結果から、都道府県の派遣事業の通訳介助員を訓練で活用する場合の3つの留意点が示唆された。第一は、訓練に関する知識、通訳技能、盲ろう者に関する知識と経験を習得した者と、事前打ち合わせをし、訓練で使用する専門用語の通訳方法を決めておくことが有効であること。第二は、訓練での通訳においては、特に、通訳による疲労を少なくし、通訳の透明性を高め(どのように言葉を変更して通訳したか、利用者と通訳者の間の確認作業を発声する)、集団訓練における他の利用者への配慮を心がける必要があること。第三は、通訳・介助員業務の管理と調整する業務が別に必要とされること。